過去に作ったものが隠されると空想のものと変わらない?|居時世界遺産シリーズvol.1 「閉じた地平線」
まえがき
居時(いとき)に残された世界、昔約束した世界、私が居なくなってもこの空間は残り誰かに
引き継がれるかもしれない、引き継がれもせず嘲笑の中消えていくかもしれないけど・・・。
それでも記しておくことにしましょう。(↑画像は実際のものを加工しているものです)
このコーナーでは作ろうとしたゲーム、ブログ、お絵かきネタの世界設定を基本として現実と虚構の境を曖昧にして書きとめ、目に留まった誰かの発想の役に立たないかなぁ(丸パクリではなく)という目論見でございます。
今回は「閉じた地平線」
ある日友人が持ってきた大仕事の製作のてんまつと、構想、心に残った物語でございます。
「閉じた地平線 」
これはとある絵描きの昔話(探検家リックさん談)
居時世界を歩いていると街角にレンガでできた建物を見つける。
正面には大きな鉄で出来た下に引っ張って閉める型の扉があった。
その扉には弾ける感じのポップでカラフルな絵が描かれている。
そばに奇妙な黄色い生き物が居た、そしてこうつぶやく。
「これはもう開くことは無いかもしれないよ・・・」
話を聞くとこの鉄扉はもともと開いていて別世界との往来が自由に出来ていたという。
奇妙な黄色い生き物は自分たちが見てきた扉の絵制作の物語を語りはじめた。
あるお店のシャッター絵を描いた記録
ここからは現実に戻りまして友人がもらってきた大仕事の話をします。
公募で賞をとった所から始まる
20代後半ごろだったかイラストの描き方も発表の仕方もそんなに知識もなくネットも全然普及していない時、がむしゃらにイラストの賞などに応募しているときがありました。
基本アナログ描き、郵便送付です。切手代も画材もバカにならない。
データ管理の現在のなんと素晴らしきことかな。
そのなかで一つ賞がヒットする。わりと大きな主催。
聞きつけた地元の新聞社も尻込みし「今回は載せられないゴメンなさい」と言って来た。
(大きすぎる所だったらしい)
「今回は」って・・・私には今回しか無いんですけどね。
友人が知り合いに広めてくれる
しゃべることが多い仕事に居た友人がそのことを広めてくれた、なんともありがたいことである。
そこであるお店の主人が依頼をしたらしい。
「うちの店のシャッターに絵を描いてくれよ。」と・・・。
この話はすぐに私のところへ飛び込んできた。
私は耳を疑い、『ムリだろ』とという言葉がよぎる。逆に『面白そうだ』という心も沸いてくる。
未知への挑戦意欲がこの頃には沸々としていた。
カンプ絵らしきものを描く
とりあえず描いてみようと依頼を受ける。
シャッターのサイズは2.5m×6mうろおぼえ、もっと大きかったかも。
制作期間は特になし(前例が無いので未知)
描く時間帯はもちろんお店が閉まってから。+休日
材料経費はあちら持ち(じゃないと大損)
お店に女の子が多いのでおしゃべりできる(しまっている時なのでほとんど無いw)
お給金は未知(これはココだけに書いて置くガッカリだと)
名前を売るチャンスです。
まずは「こんな絵になりますよ~」というものをイラストボードに描く。
2度目の制作でOKをもらう。
絵の具で絵を描いていた私はイラストボードに一生懸命色を載せていた。
今考えてもラフ絵にちょっと色見本で描く程度で良かったと反省している。
お絵かき開始
制作は夜、幸いお店の外灯があったため明るい、隣には自販機、最適である。
そしてなにより有難かったのは友人達の参戦であった。
描く前に隣の市までドライブして夜のアーケードのシャッター街を闊歩し、どんな書き方でやっているかを研究。いつもは気にしないモノなのに目的が違うとこうも風景が変わるものか。
成果があったかは不明w
ペンキや筆、汚れ防止など道具を買っていざ参る。
真っ黒なシャッターに恐る恐る白いペンキで下書を描く
レンガの建物なので馴染ませるように絵にもレンガを盛り込む。
今やってもこの人数は集まらないだろう、皆それぞれの生活をおくっている。
変わらないのは私だけか。
ベース色を手分けして塗る。ココに私は写っていない、撮影者だから。
梅雨から夏にかけての作業、台風が連続で来る年だったので休止が多かった。
目算ではもっと早く出来たのに。
自販機では押した商品と違うものが出てくるアルアル珍事が起こる。
半乾きのペンキに虫がくっつきまくる、これをとるときがエグイw
ある日イラストの黄色に対し店主の奥さんは「黄色って寂しいて意味ですよね?」とのたまう。
いや、基本的認識では「希望」の方なのだが・・・。
直感的な配色にたよらず、一般的認識での配色をやってみたが、こんなこといわれる始末。
これぞ人それぞれ。受け手のもつ感性によるもの。(今後これを語って行きたい所ですね)
全員が全員習ったままの色の受け取りは出来ないと再認識。
不細工ながらも丸い物体の彩色を施す、立体感が出せないのは大きすぎるキャンバスのせいか?シャッターの凹凸によるものか?ただのヘタクソか(推奨)
通りすがりのおじさんに「これは鯨か?」と問われる。あぁ・・はぃ
うーん、そういうフィルターの人もいるわけですね、多くに人に見せるとあらゆる意見がもらえる自分の描いてるものが果たして、人の見たことあるものと同じ認識であるかどうか、興味深いところであります。
黒い地だったので発色良くするために白を塗ってます。そこから塗りたい色。
そして多くの筆をダメにしたドライブラシ法で濃淡とタッチを塗りこむ、ひたすら塗りこむ。
極力抽象化に励んだデザイン、初案は動物描いてたが顔認識でそこにしか注視できないことが気に掛かったのでなるべく排除、誰でも解るハートのシンボル配置。
私的にハートでなくても良かったが「ナンダコリャ?」と一蹴されるよりはマシだと採用。
シンボルさえあれば他は何でも出来る。すごいよシンボルさん!
友人の一人は言った、「いとき氏にハートという発想があることに驚いた」と。
ちょっとは見る側に歩み寄らないとワケ解らんでしょ?これでも理解できないひとは多いと思う。
抽象的なものを描いてるので「何」というものはほとんど無い。
世の中には「何か」でないと許さない人もいるんだよねぇ。
簡単解説でしたがこんな感じで完成
ちょっと気になるところを修正しに行くと道向かいの飲み屋から出てきたオネーチャンに罵倒される。まだやってんのかよ!!!!と。一般認識はそんなもの。
よくパトカーが通ったなぁと、今回関係してなかったお友達に話していたところ、
『警察の友人に「シャッター絵描いている奴いるから見守っといて」と頼んでおいた』
とのこと、震えがくるくらい有難いことだと思った。
確かに暴走系の方が通るところだったしな・・・。
しばらく経ちシャッターは開いたままになる・・・そして決意
私的に非常に有意義で楽しい期間ではあったが貰える物はそんなに無かった。
最初に取り決めりゃいいじゃんといわれる方も居るだろうが、基礎知識もネットの情報も無い頃
やったこと無いものに値段も付けられない、いろいろ要素が絡んでいる。
もうシャッターは描きません、やるなら原画くらい。
寺田克也さんの昔話を思い出したがあそこまで大物になれるのかは判らんな。
TV紹介される
しばらくしてTVにそのお店は紹介された。
私の名前は紹介されなかった。
あれ?「名前をうるちゃんすだよ!」とか言わなかったっけ?
体の良い言葉で仕事をさせられるのはいつものこと。
そしてその対価は伴わない。名前を売るチャンスだよというものは信用に値しない。
そういうのが多い、ジレンマ。
そしてシャッターは閉店後も閉まることは無かった。
店主が飽きっぽいところもあったのか?誰かに言われて「クソみたいな絵」飾ってんじゃないと中傷されたかは不明。もう閉まることは無い。
だけど、決意したんだよ、そのシャッター閉めさせるように有名になってやんよと。
まだ成ってないがな!
私の心の中ではいつも閉じているシャッター・・・。
あとがき
楽しく出来た作品でしたが最終的にあまり好きではない結果だったのでどこかのホームページにひっそりと表示しておくつもりでした。
ところが数人の友人に「勿体ない」、「折角の経歴なのに何ヤッテンダ!」と叱られたため僭越ながら表示することとなりました。
ただ表示で「すごいだろ~うへへ」感をだすのもアレなもので遺産スタイルで表示させました。
それから多くの友人、知人に感謝。
報酬より得るものが多かったので良しとしたい、したいっ!くぅ・・。
ちょっと余談、都会から帰ってきた友人Gに見てもらった時言われた言葉
「あ、これ、今ならCGプリンターでできるねっ♪」 こいつは・・・w
おまえはこのブログのキャラで出してやるからな。
今後の居時遺産話は・・・。
今後の居時世界遺産で現実とからむお話はあまり出てこないと思います。
できれば設定、世界観を歩くように楽しんでいただければ幸いです。
「居時の世界の遺産」シリーズと銘打ったからにゃ10ネタぐらいは書かないかんなぁ~。